[Review]GORO KOSAKA写真展 “POP UP PHOTOSHOP”

この個展に足を運ぶ前、ラッパーは写真家で、それ以外のボーカリストは画家だなって事を考えていた。

GORO KOSAKA、通称ゴローとはまだ彼が写真を始める前の22.23ぐらいの頃からの付き合いだ。彼の写真に対する自分の印象は、身近な被写体を対象にしながらも、一定の距離を保ち相手との僅かな緊張感を保った作品。良く言えばクール、悪く言えば少し寂しい作品。彼にモノクロの印象を持っていたのもその印象が影響していると思う。

それが東京新宿、百人町の団地で生まれ育った彼の相手に対するマナーだって気付いたのは、彼を1人の後輩から写真家として見るようになった頃だった。

話を戻そう。そんな彼が去年NYで撮影してきたスナップで個展”POP UP PHOTOSHOP”を開催するというので足を運んでみた。東京という表と裏のある陰影の濃い街を撮ってきた男がNYという表も裏もさらけ出した街をどのように写してきたのか気になったからだ。エリアは下北沢、場所はFALSECRACKという今では数少なくなった空気で文化を伝えるスポット。

会場に着くと話しかけてくるゴローに断りを入れ作品と向き合う。

そこに飾られていたのは、自分の頭の中にあるNYより少し静かで色褪せた街が写っていた。ショーウインドウ越しに飾られたマネキンの頭が、寄り添う花束とともに僅かな温もりを帯びた作品。どこかの屋上の力強いクローム(銀色)に塗られた壁とその前に置かれたペンキ缶が、日差しを受け僅かな空色を帯びて薄蒼く輝く柔らかな作品。ノリの良い労働者の持ち物らしきNYらしいステッカーだらけの騒がしいヘルメットが、ポツリとフェンスにかけられた静かな作品。
そんな感じに物体の持つ記号としての存在を、切り取るシチュエーションとプリントの風味で、”反転”させたような作品が多かった印象を受けた。

鑑賞後感想を伝えると「プリントの色と、展示に対する姿勢には気をつかいましたねー。」と語っていた。隣に居た友人は「なんかNYっていうより南部っぽいよね」とポツリと呟いた。

冒頭の話に戻ろう、ラッパーは写真家で、それ以外のボーカリストは画家だという話だ。
あるがままの日常を切り取るのは芸のないただのラッパーだ。優れたラッパーはその目線の向け方で日常に起承転結を付け光の角度を調整しトリミング1つで描画的なドラマを産み出す。そして優れた画家は過去の経験の中から脳裏に宿る経験を自身のイマジネーションを使い独自のルールで写実的に映し出す。それはボーカリストも同じこと。方法は異なれどどちらも描いているのは自身の作品だ。結局形式に左右されずにその中にある「何か」を見つけられるかはこちら側の感覚の問題だと。

そんな事を思っていると、ゴローが自分の子供の話しを友人としていた。
初めて出会ってから13,4年。人生の陰影はその人の感性を左右する。少しだけ距離の縮め方を知る事で被写体の温度をコントロール出来るようになったらしい。1人の写真家であり友人の成長を感じ少し嬉しい気持ちになった。
会期は木曜日曜まで。是非あなたの目で”語らぬ街のラッパー”が写す風景を感じて欲しい。

そうそう、会場では手頃な価格で写真が販売されているから、目で楽しむお香のように部屋や好きな場所に飾ってみるのも良いと思うよ。僕は例の花とマネキンのを予約しといた。さてどこに飾ろうか。

GORO KOSAKA写真展 “POP UP PHOTOSHOP”

会期:4/12〜4/1821(※21まで延長。4/19は他の企画が入っているのでお休み)
会場:FALSECRACKTOKYO (@FALSECRACKTOKYO )
住所:東京都世田谷区北沢2-7-2( 地図 )
時間:11:00~222:00(日によって変わるので詳しくはゴローのtwitterかメールまで問い合わせてみてください。場合によっては予定時間以降の訪問も可能)
最寄駅:下北沢駅より徒歩3分(ディスクユニオン近く)
会期中の問い合わせ
twitter: @wwwgorojp
mail:gorokosaka@gmail.com まで

小さな緑の看板が目印

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る