惜しくも2016年4月21日にこの世を去った世界的シンガー”Prince”の最新作である”Piano & A Microphone 1983″(1983年に自宅スタジオでレコーディングされた未発表のピアノ弾き語り音源)の公開に合わせ、収録曲からSpritual(黒人霊歌)classicである”Mary Don’t You Weep”のカバー曲のMV(Dir:Salomon Lightelm)が公開された。
Prince – “Mary Don’t You Weep”
このアルバム”Piano & A Microphone 1983″は冒頭で書いたように、Princeのブレイク初期(Album”1999″は1982年発表/”Purple Rain”は1984年発表)の1993年に自宅でレコーディングされた未発表のピアノ弾き語り音源で(Princeの最後ツアーとなった”Piano & A Microphone Tour”から名前をとったと思われる)、MV化された”Mary Don’t You Weep”はゴスペルに影響を与えたSpiritual(黒人霊歌)というジャンルの音楽で、この曲の「神は信じる者を守り、敵を罰して下さる」というメッセージ性から人種差別が行われていた1960年代の黒人による人権運動のキャンペーンソングに採用され広く知られていたようだ。
(詳しくは最後に参考URLを貼っておくのでそちらを参照してください)
当時なぜこの曲をPrinceがカバーしていたかは不明だが、Princeは2015年に起きたボルティモア暴動(25才の黒人男性が逮捕された時に受けた傷が原因で死亡したことを起因とする暴動)の際に”BOLTIMORE”というプロテストソング(政治的抗議楽曲)をいち早く作っており、そういった活動とこの曲の歴史的背景が合わさり今回のMV化に至ったようだ。レーベルからの詳しい理由がyoutubeに書いてあるので詳しくはそちらを確認してください。
Prince – “Baltimore (feat. Eryn Allen Kane)”
ちなみに今回MVの監督を努めたSalomon Lightelmは自身でも“OUR FUTURE IS IN BALTIMORE”という映像作品を作っておりそれが今回の起用に繋がったのかもしれない。
OUR FUTURE IS IN BALTIMORE from Salomon Ligthelm on Vimeo.
ちなみに彼はYoung FathersのMV作品や近々発表されるWeekndの最新MV”Privilege”も手がけているようだ。
またこの曲は、この夏に公開されたSpike Leeの映画”BLACKKKLANSMAN”のエンディングでも使われており、劇中の映像を使ったSpike Lee版も存在する。
BLACKKKLANSMAN Extended Trailer Featuring PRINCE’S “MARY DON’T YOU WEEP”
少し話が長くなったがこのアルバム相当最高なのでぜひ聴いてみてください。
悪い大人向けのこんな曲も(genius)
音源情報URL:
Prince – “Piano & A Microphone 1983”
参考URL
about”Mary don’t you weep”
『わをんレパ研究③ O Mary, don’t you weep』
http://www.shami.jp/entry/%3Fp%3D253
about”Spiritual(黒人霊歌)”
『第三章-ゴスペルにおけるレコード』
https://www.entertainmentlounge.net/from_blues_to_rock_music/record_for_gospel/