『kyoh3i(GITANS)』

サイトを始めるにあたって、まず最初に紹介しなきゃいけないのは、僕が日本でBESTだと思うラッパーのひとり”kyoh3i(GITANS)”の事だろう。

僕がkyoh3iの事を知ったのは、僕の友達の”ミドリ”(The Hatch/中華一番)から「秋田にGIANTS(ジャイアンツ)ってめちゃくちゃヤバいラップグループがいる」って話を聞いたのがキッカケだった。

教えてもらったはいいけど、いくらググっても出てこないその謎のラップグループの事が頭の片隅に残るある日。なんとなく行った新宿のDISK UNIONで、GIANTSと同じフォントで”GITANS”ってプリントしてあるTシャツを着た男がジャケットの怪しいCDを見つけたんだ。

gitans

もしやと思いググって辿り着いたUNIONのサイトには「秋田県大雄村のキャンプクルーGITANS。」から始まる解説文と一緒にこの2曲のMVが貼ってあったんだ。

kyoh3i,74,kankici(GITANS) – “#tpd” & kyoh3i(GITANS) – “Porshe” (from the album “GITANS”)

GITANS(kyoh3i) – “Better” (from the album “GITANS”)

衝撃だった。
ノリだけで作ったようなMVとは対照的なヒリついたBEATとkyoh3i,74(ナナシ),kankichiという全く異なる3人MCによる自然体過ぎる歌詞と巧みなフローが産み出す独自の世界観。正直、今まで聴いたことのない感覚に1聴目はよく分からなかったんだけど2聴目で本物であることを確信した僕はtajima halとkyoh3iによるユニット”Kanomaker”のCDも一緒に買って店を出たんだ。

“Kanomaker”も悪くはなかったが自分の中では”GITANS”が圧倒的にヤバかった。
Partyの帰り道を歌う名曲”Party is over”からはじまり、時間にルーズなB-BOYの生態を歌った曲や、謎のスラング”#tpd”や”Stu”、何かの隠語だと思ってた友人の車購入の歌やスケボーのトリックのやり方をひたすら歌う曲などを詰め込んだ全13曲。地元の連れにしてはラップのスキルとスタイルが確立され過ぎている仲間と作ったそれはいわゆる日本語ラップの枠を超えた自由なフローと言葉が詰まったリアルヒップホップだった。それはまるで初めてstillichimiyaを聴いた時のような新鮮さに満ちていた。

GITANSに夢中になった僕が彼らのレーベル”houseofage”のblogに辿り着くにはそんなに時間はかからなかった。(house of age = “世代の家”なんてスゴい渋い名前だなと思ってたんだけど、まさか”age”がそんな意味だったなんて…)
そこにはアルバム”GITANS”以前のいくつかのFree Download音源が載っていたのだが、そこで出会ったのが自分の人生で1番大事な作品の1つとなる『kyoh3i & DJ ATSUSHI – “Life is Good”』だった。

kyoh3i & DJ ATSUSHI -

kyoh3i & DJ ATSUSHI – “動き出す街角”(from the album “Life is Good”)

「朝から夜気づけばあぁまた/ブルースカイが染まってくだんだんブラック/このループの先には何がある?/動き出す街角今日もまた」
こんなに美しいフックから始まる曲を聴いたことがあるだろうか?(s.l.a.c.k.の”Sin Son(In)”ぐらいロマンティックだよね) 地元の先輩DJ ATSUSHIの作るSampling MusicとしてのHIP HOPの魅力を存分に表現したトラックの上でkyoh3iという才能が好き放題に時にアマノジャクに喜怒哀楽を表現するこのアルバム”Life is Good”の魅力を上手く伝えたいが、悲しいことに僕には音楽のことを語るだけの音楽的な知識や文章力はない。だからこの曲やアルバムがどう素晴らしいかを上手く言葉に出来ないんだけど、拙い言葉で伝えるならそれは『自由』なところだと思ってる。

かのbron-kと同じように、洋ラップをカタカナフローでカバーするところからラッパーのキャリアを歩み始めたというkyoh3iのラップはとにかくスムースで気持ち良く耳に歌詞を届ける。そして「HIP HOPはHIP HOPをやったらNo No」(お願い!!Hip Hop)というラインが象徴するその歌詞は、いわゆる”日本語ラップ”臭さがなく、日常と理想の間から拾ってきた新鮮な言葉で唯一無二の風景を描きリスナーを引き込むんだ(そのスタンスや目線の高さは彼がコテコテのラッパーでなくスケーターである事も大きく影響しているはずだ)。そして、若さゆえ(当時23?)の青さが効いた見栄や熱さで自分を追い込んだり毒を吐く感じが本当に美しいんだ。

ごちゃごちゃ書いたけどもしあなたがHIP HOPが好きなら、エモーショナルで社会派なこのアルバムを聴いてみてほしい。「Good morning」という曲(この曲の2バース目が本当に素晴らしいんだ)から始まる1日の心象の移り変わりと人生への若者の回答を描いたこの傑作を。フリーだけど僕は全曲捨て曲なしの日本のHIPHOP史上に語り継がれるべき大事な作品だと僕は思っているよ。

DLはこちらから↓
http://houseofage.blogspot.jp/2012/10/kyoh3i-dj-atsushi-life-is-good.html

他にも色々とお宝も眠ってるから他の記事もチェックすると良いと思うよ(“360 flip”もマジで最高とだけ言っとこう)

kyoh3iは一時神奈川と東京の境目辺りに住んでいたんだけど今は秋田に戻ってマイペースで作品を作ってる。残念ながらGITANSの2ndにはまだ着手してないとのことだけど、皆が作品を聴いたり反応したら動き出すと思うから一緒に応援して待つとしよう。

そうそう、記事を書くにあたって去年の夏にiPhoneでノリで撮った素材を元に久しぶりにMV創ってみたんだ。映像はアレだけどアルバムで1,2を争うメチャヤバい曲だからよかったらチェックしてみてください。(b/s nose grindも撮りたかった…)

kyoh3i(GITANS) – “Party is over”(from the album “GITANS”)


iTunesStore購入リンク

twitter(kyoh3i):
https://twitter.com/kyoh3i

bandcamp:
https://houseofage.bandcamp.com/

blog:
http://houseofage.blogspot.jp/

GITANS – “GITANS”:
CD(disk union web)

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